考えてみれば、人間は皆死ぬわけです。生と死のことについて多くの著書のあるドイツ人のデーケン先生という方がおられます。デーケン先生はこういう講演の時にいつも言われます。「皆さん、厚生労働省の統計によれば最近の日本人の死亡率は100%です」と。聞かれた方はものすごくびっくりされますが、当たり前の話です。皆死ぬのですから。私だって言えます。「ここにおられる方の死亡率は100%」と。これは絶対、間違いないのです。皆死ぬのです。ユングは言っています、「皆死ぬのに行き先を知らなさすぎる」と。旅行をする時に行き先知らずで行く人はいますか。そんな人はいないでしょう。パリに行くとなれば、どこに何があるかとか調べるのではないでしょうか。調べるからみんな安心していられる。
皆さんは旅をしているようなものです。人生といっても、死への旅といってもいいと思いますが、その終着駅のことを何も知らずに生きていて安心していられるでしょうか。
【わたしの私 あなたの死 柳田邦男 編 「命の不思議:河合隼雄」青海社 P40、41より】
私が、考えなくても、意識していなくても、死は必ず訪れます。それは今かもしれません。死後の旅路が気になるところではありますが、すでに行き先が決まっている人においては、(自分の)死はあまり問題とはなりません。南無阿弥陀仏があって本当によかったな~、と事あることに思うのでした。
おかげさまで 今日も 南無阿弥陀仏