手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

現実を直視する

人間には生きている限り死は必然である。死からどんな技術や呪術を使っても逃げることはできない。しかも人間はこの死を知っている動物である。知るということはごまかすことが可能である。多くの人はこの死の不安に眼を覆って、日常の仕事で忘れようとし、レクリエーションの文字の示すように享楽でうさばらしをしようとする。しかしこのようなごまかしのカバーをとれば現実はまったく虚無の暗黒の中にただ一人つき出される。この暗黒の前には名誉も地位も教養も財産も養子眷属も何ら自らの支えとならない。この暗黒の中に彼方から光を投ずるのが浄土往生の道が開かれていることである。名号法の因はこの往生浄土の果に直接する。ここに人間であること、生きることそのことのほんとうの有り難さを見いだすことができるのである。
【生死一如 稲城選恵 追慕文集  響流書房 より】



日常生活において、臭い物に蓋をする的発想ではなんの解決もしません。
現実逃避に前進という文字はありません。

死に対する問題も同様です。
遅かれ早かれ、死んでいかねばならない現実を直視する。そして、その現実について考えていくことは非常に大事なことです。
おかげさまで 今日も南無阿弥陀仏



画像:小泉 武夫 新潮社