手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

浄土真宗は他力回向の宗教

 親鸞聖人が開かれた浄土真宗は「他力回向の宗教」といえます。このことを最初に指摘されたのは、本願寺第三代・覚如宗主(1270〜1351)の長子である存覚上人で、『教行信証』を註釈した『六要鈔』に、「今家(こんけ)特に如来他力回向の義を立つる」とありますように、親鸞聖人の回向観は七高僧の導きに依られたものとはいえ、そこには聖人の一大己証(発揮)がなされています。
 七高僧のうえで回向の初見は、第二祖・天親菩薩の『浄土論』のなか五念門の行業にあります。五念門とは、礼拝(らいはい)・讃嘆(さんだん)・作願(さがん)・観察(かんざつ)・回向(えこう)の五つですが、善男子・善女子がなす身・口・意の三業と、自利・利他の二利をそなえた往生のための行業であります。
 その意趣をうけられた第三祖・曇鸞大師は、このなかの回向をさらに往相(おうそう)と還相(げんそう)の二回向に開いて示されました。すなわち、往相回向とは「自分のおさめた功徳をすべての人びとに施し、ともに阿弥陀如来の浄土に生まれようと願うこと」(往生浄土の相状)であります。また、還相回向とは「浄土に生まれた菩薩は、いつでもそこに安住することなく、生死(しょうじ)の園、煩悩の林のなかで迷う一切衆生の苦しみを感知して、種々の相(応化身)をもって衆生を済度することを遊戯(ゆうぎ)とされ、さとりを完成されること」(還相回向の相状)と示されています。
 このように曇鸞大師は、天親菩薩が示された回向門をさらに往相・還相の二回向に開き、しかもそれが阿弥陀如来の本願力によることを示唆されたのですが、それをさらに徹底せしめられたのが親鸞聖人であります。
 聖人は『正像末和讃』の三時讃に、



往相回向の大悲より      還相回向の大悲をう
如来の回向なかりせば     浄土の菩提はいかがせん


などと讃えられていますが、「浄土真宗は他力回向の宗教である」ことを顕示されたのが、まさに親鸞聖人の一大己証とうかがわれるのであります。
浄土真宗入門 日野振作 永田文昌堂 P160、P161より】



浄土真宗は、「祈る」宗教ではありません。
世の中、いろいろな宗教が蔓延っていますが、浄土真宗はそれらの宗教とは異にします。
浄土真宗は他力回向の宗教である』と明示された親鸞聖人の功績は計り知れません。
まことにありがたいことです。なむあみだぶつ。