手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

阿弥陀仏の本願力回向のはたらき

 浄土真宗は、煩悩具足の凡夫が阿弥陀仏の本願を信じ念仏を称える身となれば、この世(現生)において正定聚の位に住し、命が終わるときに浄土へ往生して証りを得る教えです。
 しかし浄土において仏果を得れば、そのまま浄土にとどまらないで、還相の菩薩として娑婆世界に戻り、衆生済度の活動をするのです。
 前者を往相(往生浄土の相状―衆生が浄土へ往生するすがた)、後者を還相(還来穢国度人天の相状−娑婆である穢国に還来して衆生を救うすがた)といい、共に阿弥陀仏の本願力回向のはたらきによります。
教行信証』教文類の冒頭に、
つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。一つには往相、二つには還相なり。往相の回向について真実の教行信証あり。(『註釈版聖典』135頁)
と述べ、また証文類に、
二つの還相の回向といふは、すなわちこれ利他教化地の益なり。すなはちこれ必至補処の願(第二十二願)より出でたり。また一生補処の願と名づく。また還相回向の願と名づくべきなり。(『註釈版聖典』313頁)
と述べられている文は、まさしく阿弥陀仏往相回向還相回向のはたらきを示しています。
【学びの友 41巻2号P6  浄土真宗の利益と妙好人 林 智康 より】



本願力回向のはたらきによって、必ず南無阿弥陀仏の身にさせて頂ける、ということですね。
ひとりひとりに、すでに届けられている南無阿弥陀仏のおはたらき。
そのはたらきに気づかせて頂くか否か、至ってシンプルなのです。