手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

「私の生死問題」について考えるきっかけとなった出来事

 

 夜寝ていると、障子越しに彼が現れた。悲しんでいるのでもなく、かといって笑っているのでもない表情でこちらをジィッと見ている。最後の別れに来てくれたのだろうか

 今から思えば、夢を見ていたのかもしれないが、その彼の表情は40年経った今でも鮮明に覚えている。その彼とは、橋本君である。一つ年下で、地元ソフトボールチームの仲間であった。

 私が小学6年生であったある日、チームの親睦会で訪れたレジャー施設のジャングル風呂で、彼は急に倒れそのまま帰らぬ人となった。その夜、彼の自宅で対面した彼の表情はとても穏やかで今にも目を覚ますような気がした。彼が眠るすぐそばで、わが子を見つめる母親の沈痛な姿は今でも忘れることができない。

 「人って死ぬんだ」と、生まれて初めて身近な人の死に直面して動揺した。彼の早逝は、私が今後の人生を歩んでいく上で、「私の生死問題」について深く考えさせる大きな出来事となった。

【手品師 投稿文】

 

「不思議な体験」というテーマに投稿しました(新聞投稿)。不採用でしたので、当ブログで公開いたします。加齢に伴い、死を身近に感じるシーンが増えました。「あっ」という間の人生です。「私の生死問題」について、今一度じっくり考えてみたいものです。