手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

念仏のみぞまこと

アメリカに「LIFE」という雑誌が、かってありまして、これが創立10周年の記念の時にLIFEとは何か?という懸賞募集をしたそうです。これに回答をよせて、たくさんの応募者の中から、アメリカの知性と呼ばれる人たちが選択して、第1等で入賞したのは、アメリカに移民した遠藤という日本人であったそうです。
遠藤さんという人は、LIFE L・I・F・Eという4つの文字から組み立てられた文字をバラバラにしまして、L・I・F・Eの4つの文字から2つを選びまして、IとF、Ifという言葉を取りだすんです。LIFEの4分の2はIfである。すなわち、ここではLIFEっていうのを人生とよんでいるのだと思います。人生の半分は、もしかしたら、もしかしたら、という儚い夢を見続けていくのが人生であろう。所詮、夢であって本物の確かなものをみるのではない。という意味がその中にあるんだと思います。
それから、LIFEっていう4つの文字からL・I・Eという3つの文字を選んで【ライ】とよびましてLIFEの4分の3はlieである。とこう答えたんです。
lieというのはウソという字でありまして、人生の4分の3はウソだというのであります。ここで、ウソというのは「あいつは嘘つきだ。あいつに金を貸したけれども、借りていないといって返さない」というような意味のウソとは違うと思うんです。
けれども、この遠藤さんという人は、人生は夢であり、人生はウソであるという回答をしまして、これをアメリカの学者あるいは知識人たちがたくさん集まった選考会の中でこんな素晴らしい回答はないと、この第1等に選ばれたことにですね、私は非常に驚きを感じるのであります。
ですから、常識人の目では人生、楽しい、毎日毎日生きていることが、これが真の世界であるかの如く生きているわけです。けれども、真剣に人生をみようとすれば、やはり、その人生の底に、畢竟依(ひっきょうえ)でない、究極的にあてにすることのできない、所詮それは仮のものでしかない、無常のものでしかない、偽りでしかありえない、というそういう深い歎きのようなものがあるんだと思うんですね。
そういう思いと同時に成立するのが「念仏のみぞまことにておわします」という言葉なんだと思います。
歎異抄に探る 念仏のみぞ 後序(第二,三,四節) 霊山勝海  すねいるCDより】


【手品師コメント】
人生というものをLIFEという英単語からうまく敷衍(ふえん)していると思います。おもしろい表現ですね。
「念仏のみぞまこと」非常に力強いお言葉です。本当にたよりになるものは、南無阿弥陀仏しかないことをあらためて味わいさせて頂きました。
南無阿弥陀仏