おそのはいつも嬉しそうに語りだします。
「あの夕方になりますと、女中がお汁を拵(こしら)えて、それへ団子を入れて下から焚きたてますね。
すると団子に煮える気はないけれども、火の力でひとりでに煮え上がりますね。煮え上がったと思う頃に、すぐすくい上げて下さりますよ」
おそのの口からこれを聞くといかにも有り難く聞かれたと申します。
【柳宗悦 妙好人論集 P247】
【手品師コメント】
大きな団子、小さな団子など、団子にも色々あります。
しかし、遅かれ早かれすべての団子は煮え上がります。
時間の問題です。