手品師

浄土真宗の信心を中心に綴ります

ねじ曲げられた真実

 

 米ホワイトハウスで開かれた結婚式は過去に18回ある。ニクソン大統領の長女の式もその一つ。ニューヨーク・タイムズ紙は1971年6月13日1面で、その様子を伝えている。

 大統領は朝、起きるとまず、この写真付きの記事を読んだ。実はその横に「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれるベトナム機密文書の大スクープが載っていた。彼はこれがその後、政府を揺るがそうとは思いもしなかったらしい。

 米国はベトナム戦争の泥沼にはまり、その戦況を隠していた。スクープは国防総省の文書で、米軍が勝利に疑念を持ちながらも戦線を拡大していく実相を明らかにしていた。その記事を書いたニール・シーハンさんが先週、84年の生涯を閉じた。

 酪農を営むアイルランド系移民の子に生まれ、幼い頃、母が知人からもらってくる本を読みふけった。ハーバード大学に入っても、彼の関心は詩や小説にあり、政治や戦争への興味は薄かった。62年から米通信社記者としてベトナムを取材し、米軍発表のうそに気付く。それが、ベトナムに関心を持つ動機となった。

 私は2010年8月、ワシントンで彼に話を聞いている。約束の時刻に自宅を訪ねると、彼はわざわざ玄関先で待ってくれていた。穏やかな親日家で、部屋には天井まで本が並んでいた。

 著名ジャーナリストのデイビッド・ハルバースタム氏を生涯の友とした彼は、ベトナム戦争取材について、「戦闘の勝ち負けやワシントンの政治について、デイビッドと話したことは少なかった。米軍発表のうそについてばかり論争していたように思うなあ」と懐かしがった。

 機密文書報道の翌年、フリーとなった彼はベトナムを題材に本の執筆に入り、16年をかけて名作「輝ける嘘(うそ)」を書いた。その取材を通してたどり着いた結論は、「権力はうそをつく」。「嫌らしいことに、真実に紛れ込むようにうそが入る。語っている本人さえ、真実と思い込み、うそと気付いたとき、その事実を隠すんだ」

 トランプ大統領は4年間、「真実ではない」もしくは、「根拠の薄い」ことをまことしやかに発信し続けた。会員制交流サイト(SNS)全盛の今、個々が虚と実の判断に向き合う時代である。

 19世紀に生まれた仏小説家、アンドレ・ジッドは自伝にこう書いている。「最も嫌らしいうそは、真実に近い虚言だ」。トランプ大統領の手法について、シーハンさんにじっくりと話を聞いてみたかった。(論説委員)

【毎日新聞(東京朝刊)2021年1月15日付  金言(kin-gon)嫌らしいことに  小倉孝保より】

 

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   この新聞記事を読んでいまして、以下のようなことを思いました。

  「嫌らしいことに、真実に紛れ込むようにうそが入る。語っている本人さえ、真実と思い込み、うそと気付いたとき、その事実を隠すんだ」

とりわけ、この文章の『真実に紛れ込むようにうそが入る。』というところは、受け手にとって悲劇しかありません。先のベトナム戦争報道やトランプ氏発信の件(くだり)もその一例です。

  同じことは、宗教の分野でもいえるのではないでしょうか。私の生死問題を解決する上で、大前提の真実がウソで汚染されていては、どうにもなりません。

  「(ウソによって)真実が、巧妙にねじ曲げられてしまう」ことは、とてもおそろしいことです。また、その巧妙さ故に、ウソを見抜くことは至難の業です。(ねじ曲げられた真実に)洗脳されてしまうこともあるでしょう。

 浄土真宗という看板を掲げているにもかかわらず、本来とは全く違う教えになってしまっている現状もあります。とても悲しいことです。

おかげさまで 今日も 南無阿弥陀仏

 

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