手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

お佛壇   🌺金子みすゞ(4)

 

お背戸(せど)でもいだ橙(だいだい)も
町のみやげの花菓子も、
佛さまのをあげなけりゃ、
私たちにはとれないの。

 

だけど、やさしい佛さま、
ぢきにみんなに下さるの。
だから私はていねいに、
両手をかさねていただくの。

 

家にやお庭はないけれど、
お佛壇にはいつだって、
きれいな花が咲いている。
それでうち中あかるいの。

 

そしてやさしい佛さま、
それも私にくださるの。
だけどこぼれた花びらを、
踏んだりしてはいけないの。


朝と晩とにおばあさま、
いつもお燈明(あかり)あげるのよ。
なかはすっかり黄金(きん)だから、
御殿のように、かがやくの。

 

朝と晩とに忘れずに、
私もお禮(れい)をあげるのよ。
そしてそのとき思うのよ、
いちんち忘れてゐたことを。

 

忘れてゐても、佛さま、
いつもみてゐてくださるの。
だから、私はそういふの、
「ありがと、ありがと、佛さま。」

 

黄金の御殿のようだけど、
これは、ちひさな御門なの。
いつも私がいい子なら、
いつか通ってゆけるのよ。

【金子みすゞ大全集–生誕100年記念–(朗読CD)第七巻より】

 

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お佛壇の前で、阿弥陀さんとみすゞさんが、会話している情景が思い浮かびます。阿弥陀さまは、私が阿弥陀さまのことを忘れていようがいまいが、そんなことには関係なく、私のことを気にかけてくれるのでした。ありがと、ありがと、阿弥陀さま。

 

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