手品師(浄土真宗の教えについて)

「浄土真宗の信心について」を中心に綴ります

聴聞の姿勢

 

   蓮如の子 實悟の記録によると、文明13年(1481)前住職の本願寺第7代存如の25回忌法会の時、山科本願寺において4日間にわたり能を催した。この時、2日目にも演じた狂言「鶯の鳥さし」を蓮如は大いに感心し気に入られ、3日目にもまたこれを所望して演じさせたという。
 この狂言は、鶯を捕らえようと、けんめいになっている男のところに、ある者が来て、男にたいして着ている衣装がほしいと言った。男は鳥さしに熱中していたので、言われるままに着けている着物をぬぎすて、腰にさしていた刀を脇差までもみな渡してしまった。捕えようとした鳥に逃げられて、はじめて男は自分が裸になっていることに気付いた。そして、「やるまいぞ、やるまいぞ」と追っかけ舞台を走りさるという筋書きである。これをみた蓮如は、「鳥をとらえようと、ひたすらそのことに心をかけ、他のことは何もおぼえず知らず、という姿勢は、まことに殊勝である。仏法においても、この鳥さしの男のように、熱心に聴聞することが大切である」といわれたという。
【日本の社会と真宗 千葉乗隆 編 思文閣出版 P5、P6より】

 

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  「ただ仏法は聴聞にきわまることなり(御一代記聞書)」
と、蓮如上人はご教示くださいます。
  ここでは、その聴聞とはこうあるべきという「聴聞の姿勢」を、狂言の「鶯の鳥さし」を通して示して頂きました。聴聞に限らず、ここまで熱中できることは、そうそうないでしょう。いかがでしょうか。
おかげさまで 今日も 南無阿弥陀仏

 

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第6回 蓮如上人ゆかりの狂言「鶯」より(2007年2月14日)

 

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